2歳戦は難しい
今日行われた、朝日杯フューチュリティS。
勝ったのはアドマイヤマーズでした。
戦績だけ見れば、前走重賞勝ちの3連勝中でしたから、まあ順当なんですが、今年は「怪物」と称された牝馬が圧倒的な支持を集めていただけに、なんか「荒れた」印象を残しました。
その「怪物牝馬」グランアレグリアは3着どまり。
道中スムーズに走っていた印象を受けましたから、直線伸びなかったのは意外でした。
やっぱり2歳戦、特に牝馬が人気を集めるような混合戦は難しいですね。
明暗くっきり
さて、中央競馬の2歳戦は、暮れのホープフルSという大一番を残していますが、地方は水曜日にダートグレードレースの大一番・全日本2歳優駿が控えています。
全日本2歳優駿の過去の勝ち馬を見ると、昨年のルヴァンスレーヴをはじめとして、ハッピースプリント、ラブミーチャン、フリオーソなど、名だたる名馬がその名を連ねています。
一方で、「あの馬は今」みたいな企画があったら出てきそうな、このレースで一瞬の輝きを見せてから、それ以降奮わない勝ち馬もいます。
このあたりが、まさに2歳戦の難しさを象徴しているように思えますね。
混戦模様?
そんな全日本2歳優駿の今年の展望ですが、例年になく混戦模様に思えます。
そのひとつの要因が、有力な前哨戦である北海道2歳優駿。
地方馬がワンツーフィニッシュを決めて、そのワンツーがこのレースに参戦してきました。
(まあ、そのワンツーの判定が誤審だったわけですが…。)
他にも底を見せぬまま前哨戦を圧勝してきたミューチャリーなど、いつになく地方馬が元気です。
一方の中央馬は、これまた有力な前哨戦の兵庫ジュニアグランプリを快勝したデルマルーヴルがルメール騎手からミルコ・デムーロ騎手に乗り替わり。
そのルメール騎手が乗るのは、プラタナス賞を快勝して2戦2勝のガルヴィハーラ。
なんとなく今の流れはミルコ>ルメールなだけに、この乗り替わりがどう出るかは微妙なところだと思います。
まあ、こんな風に、なんだか今年の全日本2歳優駿はとっても混戦ムードが漂っています。
果たしてどんなレースになるのでしょうか。
前哨戦のレースレベルは?
さて、この混戦模様の全日本2歳優駿を予想する上で注目したいのは、前哨戦のレースレベルです。
今日の朝日杯フューチュリティSもそうでしたが、結局、前哨戦のレースレベルを見誤ると、予想がおかしくなってしまいます。
特に2歳戦は、キャリアが少ない分、その少ないキャリアの中身をしっかり見極めることが大事だと思います。
というわけで、このレースの前哨戦となっているレースをいくつか分析したいと思います。
兵庫ジュニアグランプリ
まずは有力な前哨戦の筆頭格、兵庫ジュニアグランプリから。
勝ったのはデルマルーヴル。
スタートからホールドユアハンド×左海誠二騎手の嫌がらせとも思えるヨレから内になかなか入れない不利を受けましたが、そこは名手・ルメール。慌てず騒がず、しっかりと馬を御して、直線で弾けさせました。
意外と、と言ったら失礼かもしれませんが、強い競馬を見せてくれたのは5着の門別・リンゾウチャネル。
このペースで主導権を握って、直線でもしぶとく食い下がりました。
この馬、鎌倉記念でミューチャリーとも対戦しているだけに、モノサシになる馬かもしれません。
北海道2歳優駿
改めてみると、すばらしいレースなんですよね。
ウィンターフェルとイグナシオドーロの直線2頭だけの一騎打ち。
見ごたえある追い比べ。
こんなにすばらしいレースなのに、誤審でケチがつくのは本当に残念です。
この2頭は北海道2歳優駿の2走前にも対戦して、接戦でウィンターフェルが制しています。
まあ、ほぼ互角の力があると言っていいでしょう。
問題はこのレースのレベル。
はっきり言って、中央馬が初ダートのミヤケが3着にくるくらいの低レベルメンバー。
レースレベルとしてそれほど高かったとは言えないでしょう。
ただ、勝ちタイム1.54.1は、前年ドンフォルティス(全日本2歳優駿2着)、一昨年エピカリスを上回るタイムで、優秀です。
2頭が遠征を克服して万全の態勢で出てくるならば、侮れないと思います。
プラタナス賞
いやあ、このガルヴィハーラっていう馬は、いかにもダート馬っていう感じの馬体です。
走り方も重戦車っていう感じで、個人的には好きな部類の馬ですが、ちょっとこのプラタナス賞の内容は物足りないなぁ、と思います。
能力の差で差し切りましたが、あまり余裕はない感じ。
2歳500万下としてのタイムは優秀でも、過去の良馬場で行われたプラタナス賞の勝ちタイムと比べると、平凡な部類のタイムだと思います。
このプラタナス賞は、過去にも全日本2歳優駿の勝ち馬を輩出している、有力なステップレースのひとつですが、今年はちょっと見劣りするかもしれません。
鎌倉記念
最後に鎌倉記念。
勝ったのはミューチャリーでした。
どんなレースでも御神本騎手の騎乗を見逃さない、御神本研究の第一人者を自負する僕からすると、この鎌倉記念での御神本騎手のミューチャリーの騎乗は本気モードですね。
それだけ、御神本騎手がこの馬に期待していると思います。
前述した通り、破ったのはリンゾウチャネル。
兵庫ジュニアグランプリで最後まで粘っていたあの馬です。
鎌倉記念でミューチャリーとリンゾウチャネルの差が1.3秒差。
兵庫ジュニアグランプリでデルマルーヴルとリンゾウチャネルの差が1.0秒差。
距離も条件もペースもまったくちがうのでアテにはなりませんが、リンゾウチャネルをモノサシに考えると、ミューチャリーはデルマルーヴルに匹敵する力がある、と言えるかもしれません。
不安要素が少ない順に
以上の前哨戦を踏まえて、予想です。
◎はミューチャリー
この馬、他の出走馬よりも不安点が少ないと思います。
ナイター競馬は体験済み。
川崎コースも体験済み。
乗り替わりなし。
長距離輸送なし。
距離不安なし。
デビューからまったく底を見せていませんし、鎌倉記念も直線でちょっと追うだけであっという間に後続を引き離しました。
ハッピースプリント以来5年ぶりに地方馬が全日本2歳優駿を勝つのもいいのではないでしょうか。
ちなみにこの馬の祖母はゴッドインチーフ。
ちょうど競馬にハマり始めたころに活躍していた馬で、とても懐かしいです。
そんな思い入れもあって、◎に推しました。
〇はデルマルーヴル
前走の勝ちぶりからすると、死角という死角はなさそうです。
左回りも東京コースで実績があります。
強いて言うならば、ナイター競馬と乗り替わり。
乗り替わりのほうは、ルメール→ミルコですから、直近の流れからするとむしろプラスに向くかもしれません。
あとはナイター競馬がやや不安ですね。
まだ精神的に幼い2歳馬だけに、ナイター競馬になったとたんに脆い面を見せる、なんてことも多々あります。
◎馬に比べて、やや不安要素がある、ということで2番手評価としました。
ちなみに、この馬も◎馬同様、パイロ産駒です。
▲はイグナシオドーロ
世紀の誤審で、勝っていたのに2着にされてしまった悲劇の馬。
でも、あのレースですばらしいレースを見せてくれたことには間違いありません。
一度ウィンターフェルに交わされてから、もう一度差し返した、あの根性は目を見張るものがあります。
ぜひ、ここでも好走して、一度ついてしまった負のイメージを払しょくしてほしいと思います。
気になるのは長距離輸送と左回り初体験、ということでしょうか。
ちなみにこの馬、血統が渋いですね。
父・ヴィットリオドーロはプリエミネンスの仔。
母の父はダート重賞で活躍した快速馬・スマートボーイ。
思わず応援したくなる血統です。
△はウィンターフェル
こちらもせっかくの勝利にケチがついてしまった、被害者とも言える馬。
イグナシオドーロに▲を打った以上、この馬を外すわけにはいきません。
イグナシオドーロともども、あの忌まわしい誤審を払しょくするくらいのすばらしい走りをもう一度見せてもらいたいです。
この馬をこの評価にしたのは、2つ。
ひとつはイグナシオドーロ同様、長距離輸送が懸念されること。
もうひとつは乗り替わり。
まあ、地方ナンバーワンジョッキー・森泰斗騎手への乗り替わりですから、心配するほどのことではないと思いますが、前走もスタート直後のつまづきや、道中でもやや口向きが悪いところが見られただけに、やや気になるところです。
×はガルヴィハーラ
馬体だけ見れば、この馬に◎を打ちたいのですが、ちょっと前走のプラタナス賞の勝ち方が、不満なんですよね。
力はあると思いますし、ゆくゆくは大物になりそうな雰囲気がありますが、まだここでは足りないと見ています。
前走から一変してくるようなことがあると面白いんですが。
ちなみにこの馬、かなりの良血馬ですね。
祖母がデルマーオークス馬・シンハリーズ。
叔父・叔母にはオークス馬・シンハライト、アダムスピーク、リラヴァティなど重賞勝ち馬がズラリ。
将来性はピカイチだと思います。
伏兵多数
さて、一応5頭挙げてみたものの、混戦模様だけに、伏兵が多数いると思われます。
たとえば、2戦2勝で、前走カトレア賞を制しているメイクハッピー。
川崎では有利な内枠をゲットしていますから、不気味な存在です。
同じく、2連勝中で前走もちの木賞を制したノーヴァレンダも、不安要素は多いものの、能力は高そうです。
2歳馬のレースは何が起こるかわからないレースが多いので、当日のテンション、展開やアクシデントひとつで、一気に様相が変わるかもしれません。
できることなら、直前までしっかりと馬を見定めてから馬券を買ったほうがいいでしょう。
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