今開催の川崎のメインは全日本2歳優駿。
暮れを彩る、名物2歳GIです。
今年の出走は13頭。
うちJRAからは5頭が参戦しています。
ここ最近の勝ち馬を並べてみると
年 | 勝ち馬 |
2018 | ノーヴァレンダ |
2017 | ルヴァンスレーヴ |
2016 | リエノテソーロ |
2015 | サウンドスカイ |
2014 | ディアドムス |
とこんな感じ。
ルヴァンスレーヴという大物は輩出しているものの、そのほかはパッとしない印象です。
今年はどんなレースになるのでしょうか。
JRA勢は、やや小粒な感じがするのですが・・・。
早速、分析していくことにしましょう。
川崎1600mの特徴
川崎1600mについては、過去にもこのブログでコースの特徴を分析しています。
一番最近で、なおかつ端的にまとめている記事はこちら。

まあ、大きく傾向は変わっていないとみて、このデータをもとに、参考レースの分析をしていきましょう。
参考レース
11/27 兵庫ジュニアグランプリ(園田1400m)
JRA勢3頭の決着となったこのレース。
勝ったのはテイエムサウスダンでした。
スッと先手を取るあたり、なかなかセンスのいい馬だな、という印象。
直線でも余裕の手ごたえでした。
ただ、距離が伸びて面白そうだと思ったのは、2着のメイショウテンスイのほう。
直線で追って、エンジンのかかりが遅い印象。
ただ、そのエンジンがかかってからは力強く伸びていました。
11/13 ハイセイコー記念(大井1600m)
このレースで勝ったのはゴールドビルダー。
1番枠からスタートして、道中はぴったりインで折り合いました。
直線では手ごたえ良く伸びて、余裕のある勝ち方でした。
まあ、ただレース全体として、いかにも大井1600m的なレースの印象。
大井1600m的とは、インで先行できれば馬券になる、というパターン。
今回は大外枠に入ってしまったゴールドビルダー。
二匹目のどじょうを狙うにはちょっと厳しい条件です。
10/31 北海道2歳優駿(門別1800m)
このレースを制したのはキメラヴェリテ。
スタートよくハナを切って、そこからスローに落とした逃げ。
3コーナーあたりで後続に飲み込まれるかな?と思ったのですが、そこから2の脚。
直線でもしぶとく伸びて、余裕のある走りでした。
レースぶりを見る限り、自分のペースに持ち込むと強いタイプの印象です。
同型馬がいる中で、果たして気分よく逃げられるかがポイントになりそうです。
10/30 平和賞(船橋1600m)
このレースを制したのはヴァケーション。
道中は3番手あたりを追走。
4コーナーを回ってくるときも抜群の手ごたえで、直線も余裕の抜け出し。
かなりスケールの大きい馬だと感じました。
川崎コースも経験しており、吉原寛人騎手との息もぴったりという印象です。
10/22 鎌倉記念(川崎1500m)
それまでのレースで圧倒的な強さを見せていたインペリシャブル。
ただ、この鎌倉記念のときの着差はクビ。
このレースだけ見ると、底が見えたのかな、という感じもぬぐえません。
でも、その見方は間違っています。
2着馬を見ていただきたい。
そう、北海道2歳優駿でキメラヴェリテの2着だったアベニンドリームです。
このアベニンドリーム、鎌倉記念から連闘で北海道2歳優駿に出ているんですね。
タフな馬であるなぁ、という印象と同時に、インペリシャブルとキメラヴェリテの力関係を測るうえでは、大事な1頭になります。
その他にも、今年の2歳戦は、力関係を比較するうえで重要な馬が何頭かいます。
たとえば、チョウライリン。
この馬、この鎌倉記念にも出走していて5着。
その1週後の平和賞にも連闘して3着。
さらにはハイセイコー記念にも出走して3着ということで、各トライアルの力関係を測るうえではもっとも重要な一頭と言えるでしょう。
小粒なJRA勢?
冒頭にも述べました。
今年のJRA勢はやや小粒、であると。
ただ、兵庫ジュニアグランプリの勝ち馬、そして北海道2歳優駿の勝ち馬が出走しています。
この事実だけをとらえるなら、決して小粒なメンバーではありません。
しかしながら、なぜか小粒に感じられるんですよね。
その理由は、南関の一線級とは対戦していないからではないかと、個人的には思っています。
そして、今年の南関の2歳馬の一線級は、かなりの粒ぞろい。
鎌倉記念、平和賞、ハイセイコー記念と、3つのトライアルの勝ち馬はいずれも高レベルです。
そんな高レベル(と思われる)の南関勢と、小粒(と思われる)の中央勢。
その力量を比較するうえで重要なのは、比較対象となる馬の存在です。
各トライアルレースのレベル感
今年の地方vs中央の構図の中で、比較対象となりうる馬は上記にも挙げたアベニンドリーム。
まず、北海道2歳優駿の結果から、
キメラヴェリテ>アベニンドリーム
となります。
一方、鎌倉記念の結果では、
インペリシャブル>アベニンドリーム
となります。
ただ、レースぶりを見ると、キメラヴェリテのほうに成長の奥行きがありそうな気配を感じました。
したがって、キメラヴェリテとインペリシャブルはそこまで大きな力量差はないものの、成長している可能性を考えると、
キメラヴェリテ>インペリシャブル
と考えていいでしょう。
そしてレースレベルとしては、やや北海道2歳優駿が優勢、といったところでしょうか。
一方、兵庫ジュニアグランプリ組に目を移すと、このレースで4着だったスティールペガサス。
実は北海道2歳優駿にも出走していて10着でした。
さらに、参考レースには挙げませんでしたが、南部駒賞にも出て、モリノブレイクの2着。
スティールペガサスの適性とかを無視して、単純に結果から考えるならば、この3つのレースレベルは、
北海道2歳優駿>兵庫ジュニアグランプリ>南部駒賞
で整理できるはずです。
また、チョウライリンを基軸に考えるならば、
鎌倉記念>平和賞≒ハイセイコー記念
という整理も可能でしょう。
以上を踏まえると、今年の全日本2歳優駿に至るレースをレースレベル順に整理すると
北海道2歳優駿>鎌倉記念>>>平和賞≒ハイセイコー記念≒兵庫ジュニアグランプリ>南部駒賞
というような序列なのではないでしょうか。
全日本2歳優駿の結論
さあ、そうなると、北海道2歳優駿を制しているキメラヴェリテが推奨馬。
・・・と言いたいところなのですが、この馬、左回りは今回がはじめてなんですよね。
大変クセの強い川崎コースで、果たして力を発揮できるのでしょうか。
そして、同型馬がいるのも気になる要素です。
インペリシャブルが競ってきて、テイエムサウスダンあたりも突いてきて・・・となると、キメラヴェリテのペースで逃げれるでしょうか。
僕はそうは思いません。
そして、自分のペースで逃げられなかった時の脆さがキメラヴェリテにはあるように思えます。
一方、キメラヴェリテにキツイ展開になった時のインペリシャブルやテイエムサウスダンもおのずと厳しいレースになります。
となると、3列目あたりで虎視眈々と前がつぶれるのを待っていて、すんなり抜け出すような芸当ができる馬が台頭してくるのではないでしょうか。
というわけで、かなり長い前振りになりましたが、全日本2歳優駿の推奨馬は、
②ヴァケーション
です。
この馬、デビュー戦以外、スタートからハナを主張してくることがありませんでした。
でも、それがいいんですね。
相手を見ながら競馬ができるという点が、今回のような激戦必至のレースでは非常にモノを言います。
そういった状況判断に優れているのが、まさに鞍上の吉原寛人騎手。
つい先日もクイーン賞をクレイジーアクセルで制しましたが、レース中のペース判断・位置取りといった状況判断が抜群に上手い騎手です。
内枠を確保できている点も大きいですし、前述の通り川崎コースでも好成績を残しています。
エスポワールシチー産駒という、非常に渋い血統の馬ですが、スケールの大きい走りをする馬です。
今年は地方馬がダートグレードレースでも頑張った年でした。
暮れの大一番も、ヴァケーションが地方馬の意地を見せてくれることでしょう。
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